事業を進めるなかでは、さまざまな種類の汚泥が発生します。
この記事では、汚泥の処理について検討している企業の担当者へ向けて、汚泥とは何か詳しく解説します。
産業廃棄物との関係や種類などとともに、汚泥の処理能力や業者選びのポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
汚泥とは何か
汚泥とは、事業の過程で発生した泥状の物質のことです。汚泥は、廃棄物処理法により産業廃棄物の一種として扱われています。産業廃棄物は、専門の業者によって適切に処理しなければなりません。よって、汚泥についても、処分する際は取り扱いに注意して適切に処理する必要があります。
建設発生土との違い
建設発生土とは、建設工事において発生する土砂のことです。建設発生土は、産業廃棄物処理法に定められている廃棄物には該当しません。ただし、建設工事で発生する建設汚泥については、産業廃棄物処理法に則って処理する必要があります。
建設発生土と建設汚泥の関係は、以下のとおりです。
建設副産物 | 産業廃棄物 | 建設汚泥 |
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建設発生土 |
汚泥には種類がある
汚泥にはさまざまな種類があります。ここでは、汚泥の種類について具体的に解説します。
有機性汚泥
有機性汚泥とは、食品工場や下水処理場などで発生する泥状の物質のことです。有機性汚泥は資源として再び利用できる場合もありますが、成分によっては扱い方に注意する必要があります。
有機性汚泥の具体例をまとめると、以下のとおりです。
有機性汚泥の具体例 |
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製紙スラッジ、下水汚泥、ビルピット汚泥(し尿の混入している物を除く)、洗毛汚泥、消化汚泥(余剰汚泥)、糊かす、うるしかす |
無機性汚泥
無機性汚泥とは、金属工場や土木工事現場などで発生する泥状の物質のことです。主に、金属や砂を含んでいる排水を処理する設備から生じます。
無機性汚泥の具体例をまとめると、以下のとおりです。
無機性汚泥の具体例 |
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浄水場沈でん汚泥、中和沈でん汚泥、凝集沈でん汚泥、めっき汚泥、砕石スラッジ、ベントナイト泥、キラ、カーバイトかす、石炭かす、ソーダ灰かす、ボンデかす、塩水マッド、廃ソルト、不良セメント、不養生セメント、廃触媒、タルクかす、柚薬かす、けい藻土かす、活性炭かす、各種スカム(油性スカムを除く)、廃脱硫剤、ニカワかす、脱硫いおう、ガラス・タイル研磨かす、バフくず、廃サンドブラスト(塗料かすを含む物に限る)、スケール、スライム残さ、排煙脱硫石こう、赤泥、転写紙かす、建設汚泥 |
排出量の多い汚泥
産業廃棄物はさまざまな種類に分かれていますが、汚泥はそのなかでも最も排出量が多いです。比較的排出量が多い動物のふん尿やがれき類と比較しても、特に排出量が多くなっています。
令和元年度に排出された汚泥の量は、以下のとおりです。
- 排出量:1億7,084万トン(前年度:1億6,738万トン)
- 排出割合:44.3%
参考:産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度実績)について|環境省
排出量が最も多い理由
汚泥の排出量が最も多い理由の一つとして、判断基準が明確に定められていない点があげられます。汚泥かどうか判断するうえで、成分の条件は特にありません。泥状の物質であれば汚泥に分類できるため、汚泥として処理される廃棄物は多くなっています。基本的に、見た目がドロドロしていれば、汚泥として廃棄可能です。
また、汚泥は多量の水分を含んでいることも、排出量が多くなる理由といわれています。
汚泥の再利用は可能か
ここでは、汚泥の再利用について、有機性汚泥と無機性汚泥に分けてそれぞれ解説します。
有機性汚泥の再利用
有機性汚泥は、バイオマスとして再利用できます。たとえば、下水汚泥はほとんどが水分で構成されており、通常は濃縮や消化などの工程を経たうえで脱水して埋立が行われています。
しかし、再利用すれば、汚泥燃料や焼却排熱などとして活用可能です。下水処理場のなかには、下水汚泥の有機分解の過程で発生するガスを発電燃料として活用されることもあります。
また、乾燥させた有機汚泥を建設資材や肥料などに活用する方法もあります。
無機性汚泥の再利用
無機性汚泥は、主に土木資材などとして再利用できます。たとえば、建設工事の掘削時に発生した汚泥を焼成や溶融し、さまざまな土木資材として再び使用するケースがあります。脱水や乾燥などの処理を施せば、盛土材や埋戻材としての活用も可能です。
また、路盤材として再利用される場合もあります。
なお、無機汚泥のなかでは建設汚泥が大半を占めており、平成17年に定められた「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」によって再利用の基本方針が定められています。
種類別に汚泥の処理方法を解説
汚泥の処理方法としては、さまざまな種類があります。具体的には、焼却、溶融、セメント原料化、埋立、造粒固化、油水分離、堆肥化、メタン発酵などがあげられます。処理するだけでなく、リサイクルも可能です。ここでは、汚泥の処理方法について、種類別にそれぞれ解説します。
焼却
焼却は汚泥を燃やして処理する方法であり、汚泥をスムーズに減量化できます。ただし、汚泥を焼却すると燃えがらやばいじんなどの廃棄物が生じるため、それらについても正しく処理する必要があります。
溶融
溶融は、熱の作用で汚泥を無害化したり減容化したりする方法です。汚泥の溶融によって発生する溶融スラグは、建設資材として活用できます。溶融により、汚泥から含有物を抽出する場合もあります。
セメント原料化
汚泥は、セメントの原料として再利用する方法があります。セメントの主原料である粘土の性質は汚泥と似ているため、汚泥は粘土の代替原料として活用可能です。汚泥をリサイクルする方法は限られていますが、セメント原料化をすれば汚泥を有効活用できます。
埋立
埋立は、できる限り減量化した汚泥を最終的に処理する方法です。リサイクルが困難な汚泥についても、埋立が行われます。各処分場が埋立に対応できるかどうかは汚泥の性質によって異なるため、注意しましょう。
造粒固化
造粒固化は、無機汚泥を混ぜて固める方法です。骨材などにリサイクルする際に造粒固化が行われます。造粒固化した汚泥は、さまざまな土木資材として活用できます。具体的な活用方法は、埋戻材、盛土材、路盤材などです。土質改良材や緑化剤などとして再利用されるケースもあります。
油水分離
油水分離は、汚泥の油分と水分を分離する処理方法です。遠心分離や加熱などにより汚泥を処理します。抽出された油分は、再生重油として再利用できる場合もあります。
堆肥化
堆肥化は、汚泥を堆肥に変えて活用する方法です。堆肥化できるのは、主に有機汚泥です。汚泥を発酵させると、堆肥の原料として使用できるようになります。
メタン発酵
メタン発酵は、汚泥を微生物に分解させてメタンガスを発生させる方法です。発生したメタンガスは、発電に用いてエネルギーを生み出すために利用できます。また、メタン発酵後に残った物質は、肥料や燃料としてリサイクルが可能です。
汚泥はいつ発生するのか
多くの産業で汚泥が発生しており、主に排水処理において生じます。汚泥は、微生物の活用により処理される場合が多いです。
汚泥の種類は幅広く、さまざまなところで発生しています。以下では、有機性汚泥と無機性汚泥のそれぞれについて、具体例を解説します。
有機性汚泥の具体例1:下水汚泥
下水は大量に発生するため、多くの微生物を発生させ、微生物に下水の有機物を食べさせて処理します。微生物が短期間で世代交代を繰り返し、大量の死骸が発生することで下水汚泥が生じます。
有機性汚泥の具体例2:ビルピット汚泥
ビルピットとは、ビルの地下にある下水道管で生じた排水を溜めるための排水槽です。そのため、ビルピットには汚水や雑排水などが溜まっています。ビルピット汚泥を処理する場合、し尿が混じっているかどうかで処理方法が異なります。
無機性汚泥の具体例1:建設汚泥
建設汚泥は、建設工事で掘削する際に発生します。具体的には、泥水や泥状の掘削物などです。すでに述べたとおり、建設汚泥は建設発生土とは違い、産業廃棄物に該当します。
無機性汚泥の具体例2:赤泥
赤泥は、耐火物やセラミックスなどの原料であるアルミナを扱う工場で発生します。アルミナを製造する過程で発生する赤泥は産業廃棄物であり、適切に処理する必要があります。
汚泥の処理業者を選ぶポイント
汚泥の処理業者を選ぶときは、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。ここでは、処理業者を選ぶポイントを解説します。
効率的に回収できるか
汚泥の処理を依頼する場合は、効率的な回収ができるかどうかを重視しましょう。そのため、なるべく近くの処理業者を選ぶのがおすすめです。それにより、汚泥の運搬にかかるコストを削減できます。
小ロットの依頼は可能か
処理を希望する汚泥の量によっては、小ロットで依頼できるかどうかが重要になります。小ロットで依頼が可能かどうか、あらかじめ確認しておくと安心です。対応可能な業者が見つからないときは、エリアを広げて探す必要があります。
適切な安定化処理と土壌汚染対策法に基づいた品質基準をクリアできるか
汚泥の性質を考慮し、不溶化処理をはじめとする適切な安定化処理ができるかどうかを確認することも大切です。汚泥をリサイクルする場合は再び埋戻しなどが行われるため、土壌汚染対策法に基づく基準をクリアできるかどうかをチェックしましょう。
まとめ
汚泥にはさまざまな種類があり、再利用も可能です。ただし、産業廃棄物に該当するため、処理する際は正しい知識のもとで対応しなければなりません。
株式会社北海サンド工業では、通常は埋立になる燃えがら、ばいじん、鉱さいなどのリサイクルを行っています。北海道で最初に鉱さいの中間処理の許可を取った業者です。無機性汚泥リサイクルサービスも提供しているため、無機汚泥の処理についてお困りなら、ぜひご相談ください。