地球環境を持続可能にするには、生産から廃棄まで循環の技術を取り入れ、限られた資源を有効活用することが欠かせません。本インタビューでは、先進的な環境への取組を体現する北海道地域暖房株式会社 企画技術部の秋山氏に、同社のこれまでの取組や今後の展望について、お話を伺いました。
北海道地域暖房株式会社について
札幌オリンピック(1972年)から遡ること2年、1970年に誕生した会社です。当時、全国的に問題となっていた石炭燃焼による大気汚染の問題解決策のひとつとして、ごみ焼却熱を利用した地域暖房を実現するという目的で設立された環境先進企業と言えます。近年では、木くずを利用したバイオマス燃料やRDF(ごみ固形化燃料)を活用するなど、環境負荷の少ない熱の生産を続けられています。 http://www.chidan.co.jp/web/広域の方々への熱供給と、必要な設備の設置・修繕に対応
弊社は主に広域の方々に熱を供給する熱供給事業を行っています。また、熱を供給するための導管・配管の設置や修繕、設備そのものの設計なども手掛けています。弊社では固形燃料を扱っているため、私の部署は固形燃料の新規開拓なども担当しています。他にも、ボイラーで発電した電気を一部社内で使用しつつ、余剰分を売却しています。メインの熱供給事業に関しては、厚別エリアでは熱供給量の7~8割が住宅系への供給です。真駒内では駒岡場清掃工場からゴミ焼却排熱を受け入れ、分譲マンションや賃貸住宅へ供給しています。供給先は公共施設から住宅まで幅広く対応していて、ショッピングセンターなどへの供給も行っています。
エネルギー起源CO2が出ない固形燃料の使用
弊社では熱供給用のボイラー燃料として使用する固形燃料に、RDFや木チップを利用しています。RDFや木チップはエネルギー起源CO2が発生しない固形燃料ですので、環境対策・CO2削減策として使用に注力しています。また、固形燃料を燃やす際は、きちんと排ガス処理を行うことも徹底しています。 ボイラーの排ガスはそのまま排出すると環境汚染の原因になりますので、サイクロン集塵機やバグフィルターなどを活用して、きれいに清浄化してから大気中に放出しています。ボイラーは、きちんと燃料を完全燃焼させることができますが、合わせてバグフィルターや集塵機を使うことで、環境汚染の防止に取り組んでいます。以前から、ただ漫然と化石燃料を使って熱を供給するのではなく、CO2削減の取り組みによって地域社会や社会的な環境に貢献することを目指してきましたが、これは昨今叫ばれるSDGsにもつながると考えています。
廃棄物をリサイクルする試みと、きちんと処理されている安心感を評価
また、埋立処分についても、きちんと基準を遵守して行っているという印象がありますね。以前北海サンド工業さんの処理場を訪問した際、しっかりと手順を踏んで試験や実験を実施し、リサイクル製品に仕上げているところを目の当たりにしました。廃棄物の処理を依頼する側としては、委託した廃棄物が違法投棄されず、正しく処理されているかどうかは非常に重視するポイントです。北海サンド工業さんは委託した廃棄物がきちんと処理されていることを最後まで確認できる会社さんなので、とても信頼しています。
熱供給の効率アップやメンテナンスの問題に取り組んでいきたい
他には、弊社で所有している固形燃料のボイラーのメンテナンスへの対応もひとつの課題になっています。もちろんバックアップのボイラーはありますが、メインのボイラーが故障などによって稼働停止すると会社運営にも影響が出てしまいますので、点検や補修などにも更に重点的に取り組んでいきたいと思っています。メンテナンスに関しては、埋設している配管の劣化や腐食への対応にも手間や費用がかかりますので、そちらの対応も進めています。